ウクライナ支援はEUにとって戦略的なもの=フォンデアライエン欧州委員長
フォンデアライエン氏が、ストラスブールにて欧州議会本会議でのスピーチの際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
フォンデアライエン氏は、「彼(編集注:プーチン)の戦略ははっきりしている。彼は、地上で優位を得て、ウクライナの人々を恐怖に陥れようとしている。よって、今ウクライナ強化することは、私たちの倫理的な責務というだけではない。それはまた、戦略的責務でもあるのだ。世界は観察している。私たちの友人もそうだし、それだけでなく、友人でないものたちも、注意深く、私たちがウクライナ支援を続けられるかどうかを観察していく。そして、その支援は強固でなければいけないのだ」と強調した。
そして同氏は、シリアでの出来事とアサド政権の崩壊に言及し、それはロシアに自らの力の展開に限界があることを示していると指摘した。その際同氏は、3年間の全面戦争を経ても、ロシアはウクライナの抵抗を破れなかったとし、現在プーチンは新たな武器、北朝鮮軍、エネルギーインフラに対する新たな攻撃によって、これまで以上の強さでウクライナの抵抗を打倒しようとしていると説明した。
また同氏は、ウクライナが直面している最大の課題は、ロシアからの意図的な攻撃を受けているエネルギーシステムの運用維持であるとし、EUはウクライナに対してすでに数千の発電機、変圧器、電力ネットワーク復旧のための部品、数百万個のLEDランプを供与したと喚起した。同時に同氏は、ウクライナにはまだ大きなエネルギー供給不足が生じており、EUはさらに多くのことを行わねばならないと指摘した。
同氏は、「明日の欧州理事会で、私は各国の首脳に対して、(編集注:ウクライナの)送電網の修復とさらなる刷新のためや発電の分散化のためにより多くのことを行うよう要請していく。この1年で最も暗い時期に私たちは、明かりを灯し続け、希望を生かし続けねばならない」と発言した。
また同氏は、今冬以降も、EUは、ウクライナの経済・財政安定性の基盤を支えていくと指摘した。国際通貨基金(IMF)の評価によれば、ウクライナの2025年の財政面での不足は420億ドルとなると評価されているという。同氏は、EUはG7や国際金融機関のパートナーたちと共に、そのギャップを埋める支援をしていると伝えた。
加えて同氏は、EUは来年「ウクライナ・ファシリティ」の一環で130億ユーロを拠出すると指摘した。さらに、EUは1月にはG7レベルで合意済みのロシアの凍結資産の利益を活用する融資の送金を始めるとし、それは2025年には180億ユーロ以上となると説明した。同氏は、その支援はウクライナに2025年末までの経済・財政安定性を与え、軍事装備品の調達のための一定の財政上余裕をもたらすと指摘した。
その際同氏は、「言い換えれば、プーチンのキーウを財政的どん底に突き落とすという戦略が完全に失敗したということだ」と発言した。
その上で同氏は、「これは、今後何が起ころうとも方針を逸らさない上での、正念場なのだ。私たちには、この戦争を通じて貫いてきた重要原則を遵守せねばならない。第一に、ウクライナは独立国家として耐え抜かねばならず、自らの運命を選ぶ権利を有さねばならない。第二に、ウクライナ領土に関することを決めるのはウクライナだということだ。第三に、私たちは常に、ウクライナの安全保障について話す時は、欧州の安全保障について話しているのだということを覚えておかねばならない。私たちには、ウクライナにとっても、欧州全体にとっても、公正かつ永続的な平和が必要なのだ」と強調した。
写真:フォンデアライエン欧州委員会委員長(X)